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里綾実に憧れた―

2016年、福知山成美高の3年生だった森若菜。

里のように、自分も125キロの速球を投げたい。長野恵利子監督にその想いをぶつけた。

長野監督は森のために楽しくやれるような練習メニューを考えてくれた。

傾斜のある芝生を裸足で駆け抜け、マウンドの感覚を身体に覚えこませた。肩の柔軟性を高め、腰の高さのバーをまたぎ続けて股関節も柔らかくした。メディシンボールで体幹も鍛えた。冬は徹底的に走りこんだ。

 

そしてプロ入り。長野監督からは「今までで1番の速球派」の太鼓判をもらった。

しかし昨年

肩の関節唇(カンセツシン)が悲鳴を上げた―

「手術が必要」

「リハビリに1年」

「ただ治っても、もう120キロを超える球は…」

 

医師からの宣告だった。

「もうピッチャーは辞めよう。120キロが投げられないなら…」

打者転向を決意した森は手術の日程も決めた。

福知山成美高時代は1年の時にサードで全国高校女子硬式野球選手権大会に出場して優勝に貢献。2年の秋以降は投手になったが、打撃でも4番を任されていたほどだ。

 

しかし手術までの間も、治すためにできることはすべてやった。肩のインナーマッスルと下半身の強化を重点的に行った。真面目に、地道に、積み重ねた。

 

すると肩の痛みがどんどんなくなっていることに気づいた。リハビリの効果が現れ出した。柔軟性をあわせもった強靭な筋力が、森を痛みから解き放ってくれた。

試しにバッティングピッチャーをやってみた。痛みはまったくない。ファーストの守備にも入ってみた。送球にまったく支障がなかった。高校時代より個人練習の時間に多くを費やすことができるプロの練習が奏功した。手術はキャンセルした。

 

「投げられる…」

 

そう確信した―

 

わかさスタジアムの直接対決。

首位の京都フローラは前日に勝利し3ゲーム差をつけた。だが愛知ディオーネも優勝をあきらめていない。

フローラの先発は植村美奈子。対するディオーネは先日プロ初勝利をあげた堀田ありさ。

堀田はカットボールを駆使した緩急のあるピッチング。双方0点で抑えるも、立ち上がりはテンポのよい植村のほうが安定していた。

そして3回裏、フローラの攻撃。

1番浅野桜子、2番みなみが倒れツーアウト。続く3番中村茜がライト前ヒットで出塁すると2盗に成功。そして4番岩谷美里がレフトオーバーのタイムリーツーベースヒットを放ち1点先制。

だがここからは息詰まる投手戦となった。

ディオーネは5回に小原美南が登板。ランナーを出しながらも0点に抑え、今日も中継ぎの役割を果たした。そして6回から森若菜が登板。

一方フローラは6回から小西美加がマウンドへあがった。

そして7回表、ディオーネの攻撃。

9番三浦由美子がライトフライに倒れ、1番西山小春がフォアボールで出塁。すると2番三原遥が送りバントに成功。つなぐ打線に貢献し続け、見事プロ通算100犠打を達成した。

 

 

 

続く3番厚ヶ瀬美姫が敬遠気味のフォアボールで出塁。4番只埜榛奈に打席がまわる。​

「ワンヒットでいい。(西山)小春ならかえってきてくれる」

そう願いつなぐ打席を心がけて打った打球はレフト前へ。西山は只埜の期待通り生還。同点に追いついた。

その裏のフローラの攻撃。

9番岩田きくがレフトフライに倒れるも、1番浅野が森の速球を打ち返しライト前ヒットを放つ。しかし森の冷静なマウンドさばきに引き出され、牽制アウトとなる。さらに森は2番みなみに対して、アウトロー125キロのストレート。見逃し三振でねじ伏せた。

8回、森のストレートに4番岩谷も見逃し三振。

「ボールがとてもいい引っかかりをしていた。投げた瞬間打たれないと確信した」と振り返った。

森は強打を誇るフローラ打線を相手に見事な快投を見せた。

そして延長9回、1対1の引き分け。

試合後川口知哉監督(フローラ)は「植村はリズムよく投げてくれた。今日は勝てた試合だったと思う」と悔しがる。一方碇美穂子監督(ディオーネ)は「選手達はよく練習の成果を出してくれた。だが、あと一歩のチームバッティングが足りなかった」と課題を整理。

今度は愛知県一宮市で直接対決。

​首位攻防戦は、ますます目が離せない。

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<次回試合>

8月28日(火)18:30試合開始

ヴィクトリアシリーズ

愛知 対 京都 第12戦 雨天振替試合

一宮市営球場

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