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「36点...36点差!!とるぞー!!」

試合前に埼玉アストライアのある選手のSNSの投稿を目にした。

                               

今シーズン幾度となく、勝負強い打撃でチームを救ってきた山崎まりだ。

 

3月下旬に開幕したヴィクトリアシリーズも今日で最後を迎える。昨日の試合結果で女王決定戦進出が極めて困難になった埼玉アストライア。

残された望みは得失点差36点を跳ね除け、今日の試合に勝利すること。

まだ諦めない!そんな強い思いが山崎の指を走らせたのだろう。

「36点...」一見ビッグマウスに聞こえ、現実的に不可能な数字なのかもしれない。

しかし大切なのは、目の前の一戦に対してどれだけ気持ちを込めて戦えるか。

だからこの投稿はビッグマウスではない。

劣勢の中でも諦めない気持ちを持ち続けることでかすかな光も見えてくるだろう。

その前に立ちはだかるのは王者。

「対策は特にない。いつも通り隙のない野球をするだけ。」と語るのは、現役時代ビッグマウスと称された京都フローラ監督の川口知哉である。

一見太々しく聞こえるコメントの裏側に、確かな自信を感じる。それもそのはず。過去2年指導してきたチーム(2016~2017兵庫ディオーネ)は、いずれもヴィクリトリアシリーズを制覇している。そして今年も京都フローラで優勝。まさに『優勝請負人』のフレーズに相応しい手腕を振るわせている。

「勝利への執念が勝るか」「王者の貫禄勝ちか」ヴィクリトリアシリーズ最終章がいざ始まる。

フローラの先発は植村美奈子、対するアストライアの先発は塩谷千晶。共に2011年入団の同年代同士の投げ合いとなった。初回は両投手上々の立ち上がりを見せ無失点で抑える。

試合が動いたのは2回表、1死から5番楢岡美和のセンター前、6番山崎まりの右中間ツーベースで1死2,3塁とし、7番今井志穂がライトへのヒットで2点を先制。

しかしその裏フローラも1死からフォアボールで出たランナーを2塁へ進め、7番泉由希菜がレフト前にタイムリーを放ち1点を返す。

「取られたら取り返す。」序盤からヴィクトリアシリーズ最終戦にふさわしい白熱した試合展開だ。

その後両投手が好投し、スコアに0が刻まれていく。2対1のままアストライアが逃げ切るかと思わせる展開だったが、王者が牙をむく。

6回裏、2つのフォアボールとヒットで1死満塁とし、ここでバッターは2回にタイムリーを放った7番泉由希菜

マウンドには塩谷に変わって姉である泉由有樹、試合終盤に訪れた一打逆転の大チャンスに姉妹対決と、この試合一番の局面である。

 

妹・由希菜は、「姉妹対決は意識せず、みんなが作ってくれたチャンスに何とか応えたい!何も考えずに来た球に集中するだけ」と心に誓い、振ったバットは姉・由有樹の失投を逃さなかった!

右中間を破る逆転の2点タイムリーツーベースヒット。その後も打線がつながり、この回一挙5点あげを試合をひっくり返した。これぞ王者の貫禄と言わんばかりの攻撃であった。

 

執念で食らい付きたいアストライアは、最終回デットボールとツーベースで、無死2,3塁のチャンスをつくるが、京都フローラ3番手三輪裕子の前にあと一本が出ず敗戦を喫した。

この瞬間、埼玉アストライアのシーズン3位が確定した。

 

試合後、辻内監督は「攻撃守備ともに昨日の試合より遥かに良い内容だった。あと一歩及ばなかったのはピンチの時の粘り強さ、チャンスの時の勝負強さの差が大きかった。チームとしての状態は悪くない。明日の試合に向けて気持ちを切り替えるしかない」と前向きに語った。

 

川口監督に話を聞くと、「終盤に逆転することができたのは大きい。ポジション関係なく、選手の状態が非常に良い。三浦と岩谷(現在、打率部門リーグ1位三浦伊織、2位岩谷美里。いずれもフローラ)が打てなくても勝てるのが今のうちの強さ」と選手層の厚さ、そして今シーズンのフローラの強さを改めて感じさせるコメントだった。

 

この試合で、ヴィクトリアシリーズ2018は閉幕。

次戦は10/3(水)ジャパンカップ出場決定戦、さらには10/7(日)女王決定戦にて、フィナーレを迎える。選手たちの熱いプレイに、より一層注目が高まる!!

<次回試合>

10月3日(水)18:30試合開始

ジャパンカップ出場決定戦

レイア 埼玉 

​わかさスタジアム京都

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