第8回女子野球ジャパンカップは大会1日目第2試合を迎える。
愛知ディオーネ(プロ3位)対尚美学園大学(大学1位)の対決。
前回大会でも同じ対戦カードの実現となった。
昨年は、ディオーネが初回から攻め立てコールド勝ちを収めた。
その試合でマウンドに立っていたのが、尚美学園大学キャプテンでエースの田中露朝だ。
「去年のジャパンカップでディオーネに相手にコールドに敗れ悔しい思いした。去年は立ち上がりの悪さが原因で敗れてしまったため、初回から丁寧に投げることを意識して投げたい」
昨年の敗戦を乗り越え、田中はキャプテンとエースの重役を背負いまたこの舞台へ帰ってきた。
今年最上級生として、成長した姿を示すためこの試合もマウンドへ立つ。
ディオーネ先発は日本が誇る大エース里綾実、尚美学園大学は田中。
共に今夏のW杯代表投手同士。
初回から先発投手の好投が冴えわたり、3回までスコアボードに「0」が並ぶ。
4回裏尚美学園大の攻撃、1死から2番豊巻翔子。
依然ディオーネのエース里に一人のランナーも出せずにいた。
このまま里のピッチングに翻弄されるかと思われたその矢先、均衡は一瞬で破られた。
1ボールからの2球目。インコース高めの直球だった。
「とにかく塁に出ること。まっすぐを狙っていた。得意の内角に体が反応した」
と捉えた打球はライトを守るディオーネ三浦由美子の後方の柵を超えた。
大会第1号のソロホームラン。
▲4回表、ソロホームランを放った尚美学園大の豊巻翔子
この一発をきっかけに里の牙城が徐々に崩れていく。
続く5回もヒットとフォアボールで出塁を許したランナーをそれぞれ進塁させ、
8番浅田真有にセンター前のタイムリーヒットを放たれさらに1点失う。
里はこのままマウンドを降りる形となった。この結果に里は、
「4回のホームランで先制され、相手を勢いに乗せてしまった。シーズン途中に戦線離脱してしまって、なんとかチームに貢献しようとマウンドに上がったが悔しい結果になってしまった」
と自らのピッチングを振り返った。
▲無念の降板となった愛知ディオーネ先発の里綾実
何とかしたいディオーネだったが、尚美学園大先発、田中のキレのある直球と変化球のコンビネーションの前に、思うような攻撃がさせてもらえず得点できない。
そして、6回裏尚美学園大の攻撃。
2本のヒットとダブルスチールを決め、1死2,3塁とし4番豊田京花にタイムリーヒットを許して3-0としする。里からバトン受けたディオーネ2番手小原美南からチャンスを作り、三たび得点した。
意地を見せたいディオーネは、7回表2死2,3塁のチャンスをつくる。ここで2番三浦由美子が、センター前にタイムリーヒットを放ち1点を返すが力尽きた。
尚美学園大の田中は、6安打完封勝利。最後までディオーネ打線に自分たちのスイングをさせなかった。
試合後田中は、
「自分の持ち味であるストレートと変化球のコンビネーションが冴えた投球ができた。特にストレートが投げたいコースに決まった。とにかくチームの雰囲気がいい。明日もこの勢いそのままに試合に勝ちたい。この勢いのまま決勝戦まで勝ちあがれたらベストですけどね」
と笑顔で答えた。
▲7回6安打完封好投の尚美学園大田中露朝
小柄な身体からサイドハンドで投じられるボールは、場内のスピートガンで「123km/h」を計測。
スピードは意識していなかったという。
それでもピッチングはプロ相手に通用した。
このチーム勢いに次戦も期待したい。